俺と親父とネトゲ

俺と親父とネトゲ

俺と親父は、結婚が早い家系だと「孫とジジイ」でもおかしくないくらい年が離れてる。
家庭環境が複雑な事もあって、別に嫌いとか仲が悪いわけではいけど、昔から俺とはあまり会話が無い。

趣味は麻雀。
昔は毎晩のように麻雀しに出かけてた。
今は軽い脳卒中だか脳梗塞になって、心臓の手術もしたし、腰も悪いから昔ほどはやってないのかな。
それでもたまに仲間と雀荘とか行ってるらしい。
俺的に麻雀は頭と指先をよく使うから、ボケ防止にいいなと思ってる。

少し前におふくろがパソコンを買った。
インターネットで調べ物したり、宿を予約したり、町内会のチラシみたいなものを作るためらしい。
もちろん初心者なので、すぐに「あの文字が出てこない」とか
「なんか更新がどうこうって出てきた」とか、しょっちゅう電話が来る。
運転免許も結構な歳になってから取得したし、携帯メールなどもフル活用してるアクティブなおふくろ。
元気が一番だね。

その後、どうやら親父もパソコンに興味を持ったらしく、実家に帰った時に「麻雀ゲームがやりたい」と言ってきた。
はっきり言ってコンピューターと対戦する麻雀ゲームは、プログラム通りの展開が多くリアリティに欠け面白くない。
なので、俺もたまにプレイしているオンラインの対人麻雀ゲーム「東風荘」をインストールしてやった。

やり方を教えるために、まずは俺が説明しながらプレイ。そして、親父に交代した。麻雀ゲームをプレイした事がある人ならわかるだろうが、持ち時間が決められていて、時間内に操作しなければ、勝手に牌を捨てられたり、ナキをキャンセルされたりする。
このような時間制限のあるゲームでは、さくさくプレイが好まれ、テンポが悪いと嫌われる。
予想はしていたが、親父は毎回制限時間いっぱいまで使ってしまう。
無駄な時間を省くために、俺が指示したり、横から手を出し補助してもなかなかうまくいかない。
リアルでは、親父は手堅い麻雀で強く、さくさくプレイをするが、ネトゲだと麻雀以前の問題でパソコンの操作がおぼつかず、目線もマウスもあっちこっち飛んじゃってる。

「○○さん、遅くね?」

「おい、早くしろよ」

「○○、いい加減にしろよカス」

「おまえみたいな奴はオフゲーやってろ」

「あーうぜー回線切ってしね」

案の定、他の3人に罵倒され続ける。
いっぱいいっぱいの親父がチャット窓まで見る余裕はない。
俺は、掲示板やチャットなどの暴言は慣れてるけど、さすがに親父が罵られているのに耐え切れず、親父のマウスを取りあげた。
そして、東風荘はアンインストールし、対コンピューター専用の麻雀ゲームをインストールした。
それ以来、実家に帰っても、親父が麻雀ゲームの話をしてくる事はない。

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